
和風建築の屋根は、一般的に次の3つの形式に分けられ、屋根の形によって建物の印象も変わります。
切妻造り…本を少し開いて伏せたような形の屋根
寄棟造り…大棟から4方向に流れる屋根面をもつ屋根
入母屋造り…上部の屋根面は切妻造りのように2方向に流れ、下部は寄棟造りのように4方向に流れる屋根

旅館や銭湯などの玄関や社寺建築に見られる曲線状の屋根を「唐破風」屋根と呼びます。中央部に取り付けられる「兎毛通し」は、様々な題材の彫刻が施される部分でもあります。カエルが足を広げたような格好の「蟇股」や「木鼻」の彫刻も見どころです。

蔵のように壁から軒先まで、土や漆喰(しっくい)で塗り回した家屋を「土蔵造り」と呼びます。江戸時代以降、耐火建築として商家などの町家建築で多く用いられた構造です。

正方形に焼いた平瓦を壁に貼り、目地を漆喰でかまぼこ形に盛り上げた壁を「なまこ壁」と呼びます。目地の漆喰の形が「なまこ」の形に似ることに由来します。一般的には瓦を斜めに貼り、火災や風雨から建物を守る役割があります。

漆喰塗りの壁の上に、壁を塗る道具「鏝」を使って、漆喰を盛り上げながら立体的な絵を描く技法です。松崎町出身の入江長八の鏝さばきは絶妙で、色彩豊かな作品もあります。

開口の上部が曲線形のものを火灯といいます。鎌倉時代の禅宗寺院建築で、はじめて火灯窓が用いられ、形が炎に似ていることから火灯と呼ばれたと考えられます。その後、様々な形状のものが現われました。

土壁の一部を塗り残して下地を現した窓です。千利休が民家の下地窓を見て、はじめて茶室の窓に使用したといわれ、その後、茶室や数寄屋建築で広く用いられるようになりました。

「床の間」は和風建築の座敷に構えられ、掛け軸や置物、花瓶などが飾られます。一般的には床を一段高く造り、「床柱」を立てます。もう一方には、少し外に張り出して小障子を立てた「付書院」を設ける場合も多く、付書院の小障子や欄間のデザインも見逃せません。

床の間の脇「床脇」を構成するのが「棚」です。中央にある2枚の棚を左右段違いに配置したのが「違い棚」です。上下の小襖付の棚は「袋棚」といい、特に上にあるものを「天袋」、下にあるものを「地袋」と呼びます。

板や竹などを帯状に薄く仕上げ、斜めまたは縦横に編んだものを「網代」といいます。様々な網代天井があるほか、腰壁にも用いられます。

竿縁天井は、最も広く用いられる天井です。壁と天井の境に回り縁を廻し、竿縁という細長い材を並べ、その上に天井板を張ります。天井板には様々な表情の板も用いられます。

「格天井」は、細長い角材(格縁)を縦横に格子状に組み、天井板を張った天井です。「格天井」を湾曲した支輪で、さらに高めて造った天井を「折上げ格天井」といいます。